■「勝っていくためにチーム内で話し合っていく必要がある」

 前半はダブルボランチを組む安居海渡が、状況に応じて最終ラインに下がって3枚でボールを回し、安居がいたスペースを渡邊と、トップ下から臨機応変にポジションを移した小泉が埋める形で対応した。しかし、後半になると状況が一変する。

 システムを[4-4-2]から[3-4-1-2]にスイッチし、前からプレッシャーをかけてきた町田への対応に苦しんだと渡邊は試合後に打ち明けている。

「後ろの選手たちはボールを前に蹴りたがり、僕は海渡と『つないでいきたい』と話していやなかで、なかなか意思疎通が図れなかった。ただ、そこに関して悪かったとは思っていないし、勝っていくためにチーム内で話し合っていく必要がある。もちろん監督の指示を実践するのは当たり前だけど、ピッチ上で誰が矢印を示していくのも大事になってくる。その矢印を、僕が中心になって示していきたい」

 前体制下で司令塔役を担った、スウェーデン代表のサミュエル・グスタフソンを投入する選択肢を「凌磨と海渡という形を、とにかく崩したくなかった」と最後まで封印した池田暫定監督は、渡邊に対してさらにこう言及している。

「みなさんもご存じのように、前へ出て奪うのか、それともプレスバックで奪うのかといった点を賢く選択できる点が、彼を起用した要因のひとつでもあります」

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