異常気象と言われる事態が、もはや日常であるかのように、日本を含む世界の気候は大きく変動している。その影響は社会のあらゆる面に及び、サッカーもその例に漏れない。かつてとは違う真夏と、日本のサッカーはいかに付き合っていくべきなのか。サッカージャーナリスト後藤健生が考察する。
■アルゼンチン戦「後半2分」で中止も…
先週はU-18日本代表が出場したSBSカップを観戦に静岡県まで行ったのだが、完全に雨に祟られた2日間となってしまった。
8月22日(木)、静岡市・草薙陸上競技場での第1試合は静岡ユース(静岡県U-18選抜)対U-18アルゼンチン代表だった。試合開始前にすでに雨は降りはじめていたが、予定通り15時55分に静岡ユースのキックオフで試合が始まった。
だが、まさにその瞬間に雨脚が一気に強まり、雷鳴が轟いたため、試合はキックオフから約50秒後に中断した。
大雨はいっこうにやむ気配もなく、雷は上空にとどまり続ける。
試合が再開されたのは、中断から2時間以上が経過した17時59分。キックオフから50秒後、静岡ユースのスローインという場面からの再開だった。
SBSカップの試合はもともと80分(40分ハーフ)の予定だったが、中断の影響で試合は30分ハーフで行われることになった。
前半戦は明らかに静岡ユースが優勢。MF矢田龍之介からのパスで展開し、左サイドの小竹知恩が突破力を見せる(ともに清水エスパルスユース)。前半のシュート数は静岡ユースが3本。そして、アルゼンチンは1本のシュートも撃てなかった。
雨は降ったりやんだりを繰り返しており、後半も始まった。すると、32分(つまり、後半2分)に1本の縦パスでCFルーカス・アルフォンソが抜け出し、右サイドでフリーになったディラン・カブラルが決めてアルゼンチンが先制に成功した。
そして、アルゼンチンの選手たちがセレブレーションを行っていたその瞬間に、稲光とともに大きな雷鳴が響く。アルゼンチンのベンチ前でゴールを祝福していたクラウディオ・グニャリ監督が雷に驚いて大きく飛び上がる。
結局、試合はその時点で中止となったが、試合結果はアルゼンチン勝利でそのまま成立した。アルゼンチンが放ったシュートは、決勝ゴールとなったあの1本だけ。彼らにとって本当に幸運な勝利だった。