■ヤクブのPKで清水が3連勝
前半を0対0で折り返した清水は、パワーを注いで後半に入る。敵陣での時間を増やしていくが、決定機を作ることはできない。
守備時は4-4-2のブロックをしく鹿児島に対して、清水は前線の4人を中心にショートパスをつなぎながら、ワンタッチパスを使うことで相手の目線をズラしていく。しかし、J3降格圏の19位に沈む鹿児島の守備は粘り強い。
1点勝負の展開のなかで、60分前後から両チームのベンチが動いていく。清水の秋葉忠宏監督は62分に吉田と乾を下げ、DF北爪健吾とMF矢島慎也を投入する。さらに76分、北川とカルリーニョス・ジュニオが退き、FWアブドゥル・アジズ・ヤクブとMF西原源樹がピッチに立つ。システムは4-2-3-1のままで、選手を入れ替えながら攻撃の迫力を出そうとする。
鹿児島は76分の選手交代で、4バックから5バックに替えてきた。清水からすると敵陣にスペースを見つけにくくなったが、セカンドボールの支配率は高まる。
84分、CKの流れでゴール前へ上がっていたCB住吉ジェラニレショーンが、ペナルティエリア内の競り合いで反則を誘う。清水にPKが与えられる。この場面で前方へパスを出した中村には、プレッシャーがかかっていなかった。終盤に突入して疲労感が増していたこともあるが、鹿児島のシステム変更が中村をフリーにした、と言うこともできただろう。
このPKをヤクブが決め、清水は88分に一歩前へ出る。秋葉監督はすぐにDF高木践を入れて5-4-1に変更し、6分のアディショナルタイムをしのいだ。
これで清水は3連勝とした。2位の横浜FCとは勝点1差だが、3位のV・ファーレン長崎とは勝点9差とした。長崎が5戦勝利なしと後退するなかで、J1昇格争いは三つ巴の攻防から「2強」へ変化しつつある。