■この大会で突然、出現した「サポーター」
最後にもうひとつ、この大会で忘れてはいけないものがある。日本を応援したサポーターである。
それまでの日本サッカーには、サポーターはいなかった。ここでいうサポーターとは、自主的に入場券を買って集まった入場者が集団となって声を上げ、歌を歌い、旗を振って、勝っても負けても、最後までチームを支え続ける人びとのことである。それがこの大会で突然、出現したのだ。
日本の3試合はすべて国立競技場で行われたが、合計観客数は10万人に達した。この当時の日本のサッカーでは異例のことだった。もちろん、日本代表の試合をはるかに上回った。たとえば3月に同じ国立競技場で行われた日韓定期戦は韓国に2-1で勝った試合だったが、観客は1万8000人だった。
入場料が安く、夏休み中で、高校生までの若いファンが非常に多かったこともある。そうした若者たちは国立競技場のバックスタンドに集まり、無数の日の丸を振った。