■鈴木優磨の1対1
それでも何とか0-0で乗り切った後半。鹿島はギアを上げ、迫力を持ってゴールに向かい始める。そこで牙を剥いたのが鈴木優磨だ。15分にはサミュエル・グスタフソンからボールを奪った名古新太郎のスルーパスに反応。長い距離を持ち運び、相手守護神・牲川歩見と1対1になったが、シュートは正面。
「足がその時、追いつかないから」と本人は試合後、苦笑したが、これは決めておきたい千載一遇のチャンスだった。
直後には名古のシュートが枠をかすめ、30分にも仲間隼斗のシュートもクロスバーを直撃。さらに36分には鈴木優磨のパスを受けた柴崎岳が絶妙のスルーパスを仲間に出し、ついにネットを揺らしたかと思われた。これはVARの末にオフサイドと判定されたが、ポポヴィッチ監督は激怒。当の仲間も「映像を見た感じだと(オフサイドは)なさそうだった」と悔しそうにしていたが、一度下されたジャッジは覆らない。前を向くしかなかった。
そして最後の決定機だったのが、後半ロスタイムに濃野からパスを受けた鈴木優磨が強引に持ち込んだシーン。これもまた牲川にキャッチされ、万事休すとなった。
「今日は僕が決めてりゃ勝てた試合なんで、非常に悔しい。後ろはしっかり耐えてくれてたんで、2回チャンスあったんでしっかり決め切らないとこういう試合になるなと。個人的にはすごく反省してますね。
浦和とはお互い意地と意地をかけた戦いになる。これだけファンが集まってくれて、僕自身もチャンスがあって、『また来たいな』って思ってもらえるようなゲームにするためには、やっぱり勝たなきゃいけなかった。次の試合がその次の試合か、その次の試合か分かんないですけど、点を取って、またチームを勝たせられればいいなと思います」
鈴木優磨は改めて自分が鹿島を勝たせられなかった責任の重さをにじませた。