■VARの目的ではない「取り消し」
1点をリードされた後の前半の終盤は日本が完全にボールを支配して猛攻をかけ続け、スペインが自陣ゴール前にくぎづけとなった。
そして、実際、40分には細谷真大の“スーパーゴール”が生まれたのだ。
結果的にはVARが介入してオフサイドの判定となってしまったものの、藤田譲瑠チマからのパスを受けて反転して決めた細谷のゴールは実に美しいゴールだった。
今大会、グループリーグの初戦から細谷は1トップとしてポストプレーでチームの攻撃の軸となっていたが、イスラエル戦の決勝ゴールを決めたのに続いて、強豪スペインのDFを相手に素晴らしいゴールを決めたのだ。
オフサイド判定は、もちろんルール的には正しい判定だ。
だが、細谷の体幹は完全にDFより後方にあり、爪先がほんの数ミリ相手より前に出ていただけだった。VARが導入されていなければ、けっしてオフサイドが取られることはなかっただろう。ルール上、たしかにオフサイドであったとしても、半自動オフサイドテクノロジーとかVARの映像を使って、あのようなプレーをオフサイドに取るというのはルール本来の趣旨に反している。
VARの目的はあくまでも「明らかなミスを防ぐ」ことのはず。ああした、数ミリのオフサイドをあぶり出すことは、けっしてVARの目的ではない。