なでしこジャパン宿敵アメリカに120分の激闘の末敗れるも…手にした大きな成果(2)守備の成功と「足りなかった」最後の余裕、「必要とされる」谷川萌々子らへの世代交代の画像
パリ五輪では、ブラジル戦で史上最年少ゴールを挙げた谷川萌々子(2列目 右端)ら若い世代の活躍が目立った。撮影/渡辺航滋(Sony α‐1)

 守備時がボランチと並ぶ形の「5-4-1」になるのではなく、相手DFラインのパス回しに対して藤野と清家が前気味のポジションで妨害し、「5-2-3」のブロックを形成した。

■枠内シュートは「前半の1本だけ」

 サイドバックにボールが入れば日本の両ウイングが対応し、センターバックがもっているときには田中がアメリカのアンカー、コービン・アルバートへのパスコースを巧みに消した。アメリカの両センターバック、ナオミ・ジルマとエミリー・ソネットがボールをもってパスを出す選手を探し、結局、互いにパスを交換するシーンが多かったのは、日本の守備が成功していたことの証拠だ。
 後半に入ると日本のパスがつながるようになり、アメリカ・ゴールに迫るようになる。しかし、残念ながら、この試合のなでしこジャパンは攻撃の最後の段階での冷静さ、あるいは余裕に欠けていた。シュート数としては、120分間を通じてアメリカの15本に大きくは劣らない12本を放ちながら、「枠内シュート」が前半の田中の1本だけだったところに、最後のところで「個の力」が足りなかったことが現れている。

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