守備時がボランチと並ぶ形の「5-4-1」になるのではなく、相手DFラインのパス回しに対して藤野と清家が前気味のポジションで妨害し、「5-2-3」のブロックを形成した。
■枠内シュートは「前半の1本だけ」
サイドバックにボールが入れば日本の両ウイングが対応し、センターバックがもっているときには田中がアメリカのアンカー、コービン・アルバートへのパスコースを巧みに消した。アメリカの両センターバック、ナオミ・ジルマとエミリー・ソネットがボールをもってパスを出す選手を探し、結局、互いにパスを交換するシーンが多かったのは、日本の守備が成功していたことの証拠だ。
後半に入ると日本のパスがつながるようになり、アメリカ・ゴールに迫るようになる。しかし、残念ながら、この試合のなでしこジャパンは攻撃の最後の段階での冷静さ、あるいは余裕に欠けていた。シュート数としては、120分間を通じてアメリカの15本に大きくは劣らない12本を放ちながら、「枠内シュート」が前半の田中の1本だけだったところに、最後のところで「個の力」が足りなかったことが現れている。