勝負の分かれ目は「個の力」だった。
延長前半のアディショナルタイム。日本陣にはいってボールをもったアメリカの左サイドバック、クリスタル・ダンが右コーナーめがけて対角線に長いパスを出す。受けたのは右ウイングのトリニティ・ロドマン。
■どんなGKでも取れない「シュート」
日本の左ウイングバック北川ひかるは体力的に限界に近いところまできていたが、このときの守備にミスがあったわけではない。しかし、ロドマンが切り返して内側にかわして左足を振り抜くと、ボールは日本ゴールの左上隅に吸い込まれた。
その直前、まったく同じように内側にもちこんで左足で放ったロドマンのシュートは、大きく日本ゴール左に切れていた。だが、このときは、ロドマンはどんなGKでも取れないシュートを叩き込んだ。ここぞというところで発揮された「個の力」が、勝負を決めた。