サッカーは無数のディテール(詳細)であふれている。サッカージャーナリスト大住良之による、重箱の隅をつつくような、「超マニアックコラム」。今回のテーマは、クツ底のあいつ。
■スタッド「6本」が基本だったが…
このような「打ち付け型」のスタッドのほかに、1960年代にはクツ底とスタッドを強化ゴムやプラスティックなどで一体成型した「固定式」のサッカーシューズも一般的になっていた。こうしたシューズは、当時は「ゴム底」と呼ばれた。サッカーシューズのスタッドといえば、前に4個、後ろに2個という「6本ポイント」が基本だったが、スタッドを取り替えることができない固定式シューズは摩耗を防ぐために12本から15本のスタッドが付けられ、当然のことながら足への負担も減って、固いグラウンドではとくに重宝された。
ある時代までは、「桟(さん)=英語ではbar」という形状のものも、ルールに書かれていた。クツ底に「下駄の歯」のような「横棒」をつけるのである。1960年代にはこうした形状のスタッドをもつシューズは市場から消えていたが、ルール上では1990年まで存在した。
現在のルールにはスタッドの形状や大きさ、あるいは長さに関する規定はない。「競技者は危険な用具、もしくはその他のものを用いる、または身につけてはならない」(第4条)とあるだけである。そのため、試合前、あるいは交代選手がピッチに入る前にクツ底のチェックがある。