■ロンドン大会は「半年以上かけて」開催

 もう一つ、見直したいのがオリンピックの開催期間の問題だ。サッカー競技に関する矛盾の多くは、17日間のオリンピック期間にサッカー競技を詰め込むことが原因だった。それなら、オリンピックの開催期間を長期化すればいいのではないか。

 フランスの首都パリで夏季オリンピックが開催されるのは今回が3度目だ。

 前回はちょうど100年前の1924年大会。この時は、開会式が7月5日、閉会式が27日に行われたが、競技は5月4日に始まっており、大会期間は2か月半もあった。ちなみに、サッカー競技は22か国が参加して、5月25日から6月9日にかけて行われ、南米大陸のウルグアイが優勝した(ウルグアイは4年後のアムステルダム大会でも優勝。ワールドカップ開催のきっかけとなった)。

 初めてパリでオリンピックが開催されたのは1900年の第2回大会だったが、この時は5月14日から10月28日まで半年近くかけて行われている。

 1900年の大会は万国博覧会の一部として行われ、どこまでがオリンピック競技だったのかも定かではない大会だ。だが、第1次世界大戦前に行われたオリンピックはその後も長期間にわたって行われるのが普通だった。1908年のロンドン大会は4月27日から10月31日まで半年以上かけて行われているし、日本が初めて参加した1912年のストックホルム大会も5月5日から7月22日まで、2か月半かけて行われている。

 長期にわたって開催できれば、選手や観客も集中しないので開催都市の負担を軽減できる。また、涼しい時期に行うべき競技は4月、5月に行い、水泳など夏場の競技は7月、8月に行うこともできる。

 もし、MLB開幕前の3月に野球競技が実施できればMLB選手を含む野球開催が可能となるし、サッカーもワールドカップと同じく6月から7月開催にすることができる。

 2024年大会の場合だったら、ドイツでのヨーロッパ選手権(EURO)と並行してオリンピックのサッカーを実施できたはずだ。それなら、各国のクラブは選手がオリンピックに参加することを容認したに違いない。

 IOCとしても、複数都市開催や長期間開催を容認すれば、開催都市の負担をこれ以上増やすことなく競技数拡大ができるのだ。そうすれば、サッカー競技も現在よりずっとハイレベルな大会として(事実上のU-23世界選手権として)実施できることになるのだが……。

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