■日本人が初めて「プレー」した瞬間
そんな日本サッカーの歴史のことを考えていると、フェリーはあっと言う間に似島を通り過ぎます。
すると、その南側にもう少し大きな島が見えてきました。これが、江田島(えだじま)です。
江田島は海軍兵学校があった場所として有名です。海軍の指導者を育成する学校で、現在は海上自衛隊幹部候補生学校という名称になっています。
海軍兵学校が江田島に移ってきたのは1888年のこと。前身の海軍操練所は1869年に東京・築地に創設され、翌年には海軍兵学寮と名を変えています。
これでピンと来た方、あなたも立派なサッカー史通です。1873年にイギリス海軍の顧問団が海軍兵学寮にやって来て、日本人に対して教育を行ったのです。団長はアーチボルド・ルシアス・ダグラス中佐。この顧問団が教育の一環として兵学寮の学生にフットボールをやらせました。日本人が初めてフットボールをプレーした瞬間でした。
江田島自体はサッカー史とはなんの関係もありませんが、海上自衛隊幹部候補生学校には今でもダグラスの肖像画が掲げられているそうです。
こうして、日本サッカー史に思いを馳せている間に、フェリーは呉に到着。お目当ての戦艦大和ミュージアムは、この日はなんと休館日! 美味しい寿司と呉の地酒を味わった僕は、JR呉線に乗って無事に広島に戻ってきました。