■欧州の女子サッカーでは「短パン」が主流

 さて、今回のテーマはパンツである。2011年の女子ワールドカップ決勝戦。ドイツのフランクフルトで「絶対的女王」アメリカに挑んだなでしこジャパンは、当時としては普通のヒザが少し出る長さのパンツ姿だった。しかし、相手のアメリカの選手たちは短いパンツを履いていた。ただでさえ長いアメリカ選手の足が、太ももが大きく露出されると、余計長く見えた。

 過去10年間、女子サッカーはとくに欧州において大きな飛躍を遂げ、今や各国にプロリーグがあるまでになった。その多くの国で、選手たちが「短いパンツ」を愛用しているのが目立つ。日本のWEリーグでは、まだヒザの少し上までのパンツを履いているチームが大半で、わずかに大宮アルディージャVENTUSが少し短めのパンツでプレーしているが、欧州の女子サッカーでは今や太ももを大きく露出する、とても短いパンツが主流になっているのである。

 前段を読んでニヤリと笑ったあなた、あなたに強く言っておきたいが、これは、断じて、男性のファンの目を楽しませるためといった不純な動機によるものではない。純粋にスポーツの観点、パフォーマンスを向上させるためのものなのである。

 そう、女性のサッカー選手は、体温を放出し、パフォーマンスを保つために短いパンツを必要としている。それは男性との筋肉量の違いによるものなのだ(と、ここでは断言してしまう)。

 では、鈴木優磨選手や大迫勇也選手はどうかって? 彼らの筋肉量は、少ないどころか、周囲のJリーグ選手たちより多いかもしれない。しかし彼らは、体験として、太ももを大きく露出させることが自分のパフォーマンスを利していることに気づいているのだ。

 とすれば、メーカーの都合やファッションセンスでチーム全員に長いパンツを履かせることなど、プロスポーツとして大間違いであることは明白だ。選手の好みに適した長さのパンツを用意することで、大事なスポンサー名が露出されないといった、いわば「事故」を防止するのが、プロのサッカークラブというものではないか。

 年を追うごとに暑さが厳しくなる日本の夏。今季は間に合わないだろうが、来季に向けたユニフォームの開発には、ぜひ長さの違うパンツの用意をしてほしいと思うのである。

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4