■ヨーロッパの「サッカー先進国」と同じに

 サッカーに詳しいサポーターは、当然、ワールドカップこそが最大の目標であることを理解している。だが、サッカーに詳しくない一般のスポーツ・ファンや、4年に一度だけスポーツに興味を持つ「オリンピック・ファン」にとっては、そうした事情は十分に理解されていない。一般紙や放送メディアも、「サッカーのメダル獲得」に大きな期待をかけたりする。

「1968年のメキシコ五輪以来のメダル」という言い方もよくなされる。だが、日本がフル代表で挑み、西ヨーロッパや南米はアマチュア代表や若手選抜が出場していた当時のオリンピックと、23歳以下の代表同士の現在のオリンピックとを比較することは無意味なことだ。

 パリ・オリンピックを目指すチームにはオーバーエイジの選手は招集されなかった。そして、23歳以下でもヨーロッパの一流クラブで活躍している選手は招集しなかった(できなかった)。

 こうして、日本もオリンピックには必ずしも最強チームを編成しないで臨む時代に突入したのだ。つまり、ヨーロッパのサッカー先進国と同じになったのだ。ヨーロッパでは23歳以下でも、本当の一流選手はEURO出場が優先だから、オリンピックには出場しない。

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