■スキッベ監督「アンラッキーな失点」
それでもすぐさま立て直し、17分には新井直人が同点弾を奪う、左WB東のクロスに飛び込み、浮き球のヘッドをお見舞い。日本代表守護神・前川黛也も動けなかった。
「しっかり東選手がファー見てくれたことで、あの得点が生まれた。叩きつけることをイメージしましたけど、ちょっと距離もあったので、ああいうふんわりしたやつに変えたことによってゴールが生まれたと思います」と新井は明確な意図があったことを明かす。これで3月に移籍してきて18試合6ゴール。「ここまで来たら2ケタを狙ってもいい」と本人もギラギラ感を前面に押し出した。
そんな新井に触発されたのか、前半の広島は35分のピエロスの決定機、39分の満田の遠目からのシュートなど複数のチャンスを作り出す。シュート数でも神戸を上回り、後半には追加点を奪えそうな雰囲気もあった。
その希望を打ち砕いたのが、後半開始7分の神戸・広瀬陸斗の2点目だった、初瀬亮の右CKをマテウス・トゥーレルが落とし、ピエロスがクリアしたボールを扇原貴宏が頭で跳ね返す形になり、それがゴール前に飛び出した広瀬に渡る形になったのだ。
スキッベ監督は「アンラッキーな失点だった」と憮然とした表情で語ったが、サッカーとは皮肉なものだ。これで流れを失った広島はカウンターから山口に3点目を奪われてしまう。その後、18歳の中島洋太朗やドゥグラス・ヴィエイラら攻撃の持ち駒を次々と投入したが、最後にはエゼキエフが負傷退場。10人での戦いを余儀なくされ、タイムアップの笛。彼らは痛い敗戦を喫したのだ。