ワールドカップ・アジア最終予選の抽選が行われ、組み合わせが決まった。対戦相手のみならず、スケジュールが具体的になったことで、見えてきたものがある。いかに最終予選を戦うべきか。サッカージャーナリスト後藤健生が考察する。
■日本戦に向けて「万全の準備を整える」各国
現在の日本代表のチーム力を考えれば、一つひとつの試合に対して細心の注意を払って準備していけば、予選突破の2位以内はおのずから見えてくるはずだ。
もちろん、それぞれの試合は楽なものにはならない。
対戦相手はランキング上位の日本に対して、さまざまな対策を講じてくる。極端に守備を固めてくる国もあるかもしれないし、思い切ってロングボールを蹴り込んでくるかもしれない。そして、彼らは日本戦に向けて合宿を行って万全の準備を整えてくる。
一方、日本の選手たちは各クラブで週末の試合を終えてから長距離移動を経て集合し、戦術的な練習もほとんど行えないまま、木曜日の試合に臨まざるをえないのだ。当然、コンディションが良いはずはない。
4年前のオマーン戦がまさにそうだった。
オマーンはヨーロッパで長期合宿を行い、試合の1週間前には日本に乗り込んで調整を続けており、試合直前に集合した日本選手よりはるかに良いコンディションで戦うことができたのだ。
そのときのオマーンの監督だったブランコ・イバンコビッチ監督(クロアチア人)が、現在は中国代表監督を務めているというので警戒する向きもあるようだが、オマーンと中国では条件は違う。
中国での報道を見ると、中国ではスーパーリーグ(超級聯賽)やカップ戦の日程の調整を図っているものの、日本戦を前にそれほど長期の準備期間は取れないとのことだ。
いずれにしても、一つひとつの戦いが難しい試合になるのは間違いないが、4年前に証明されたように、一つや二つ取りこぼしがあったとしても心配する必要はない。ホーム&アウェーで10試合を行えば、最終的に実力通りの順位に収斂していくのは間違いない。