■急成長を遂げた「中進国」インドネシアだが…

「アジアは強くなってきている」という人も多いが、本当にそうなのだろうか?

 たしかに、たとえばインドネシアは、ほんの数年前までは東南アジアの中でもタイやベトナム、シンガポールの後塵を拝していたが、ヨーロッパ生まれでヨーロッパでプロとなったインドネシア系の選手を加え、韓国人の申台龍(シン・テヨン)の指導も相まって、急成長を遂げた。

 だが、「東南アジアのトップになること」と「日本や韓国、オーストラリアを脅かすこと」との間には大きな隔たりがある。

 インドネシアは国としても、最近は急激な経済発展を遂げて、最貧国ではなく、中進国(1人当たりGDP約1万米ドルの中所得国)となっている。だが、そこからが難しいのだ。

 これまでにも、中南米諸国や東南アジア諸国でも中進国まで発展しても、その後、成長曲線が鈍化してしまうケースが数多く見られた。その後も経済成長を続けて先進国の仲間入りに成功したのは韓国やシンガポールなど、ごく一部の国だけなのだ。

 そして、世界銀行はこの現象を「中進国の罠」と呼んだのだが、サッカーの強化でも同じようなことが言える。

 今大会でもやはり、僕は「5強」の予選突破は間違いないと思っている。もっとも、グループCではどこか1か国がプレーオフに回ることになるのだが……。

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