■9月シリーズは「チーム作り」は棚上げに

 1997年のフランス・ワールドカップ最終予選で日本代表は9月19日にアブダビでアラブ首長国連邦(UAE)と対戦したが、この試合も気温が40度近くあって湿度も極めて高く、当時、日本代表のMFとしてプレーしていた名波浩(現、日本代表コーチ)は試合途中でいったん意識を朦朧とさせてしまうほどだった。僕も、これまで世界各地で試合を見てきたが、これほど暑かった試合は記憶にない。偵察に来ていた韓国の車範根(チャ・ボングン)監督は上半身裸のまま観戦していた。

 もちろん、日本も猛暑に見舞われるであろう真夏の後なので、日本国内を拠点としている選手は暑さには慣れているだろうし、中東諸国は夏場はシーズンオフなので、必ずしも中東の選手が暑さに強いわけではない(前述のUAE戦でも、後半になって足が止まったのはUAEの選手たちだった)。しかも、バーレーンは冬のオーストラリアでのアウェーゲームの後、酷暑の本国に戻ってきての試合となるのだ。

 だが、いずれにしても過酷な条件であることに変わりはない。9月シリーズについては、「チーム作り」というテーマは棚上げして、ホームの中国戦を戦うメンバーとバーレーン戦に起用するメンバーを分けて準備するなどの対策が必要なのではないだろうか。

 その後、日本代表は10月10日にもサウジアラビアとのアウェー戦がある。10月10日のサウジアラビアもまだ暑さは厳しいはずだ。しかも、サウジアラビアはバーレーンよりもはるかに強い相手だ。

 つまり、スケジュール的に最も厳しいのが、9月のバーレーンと10月のサウジアラビアのアウェーでの2試合ということになる。逆に言えば、この最もアウェー戦さえ乗り切れれば、予選突破への道筋は見えてくるということになる。

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