■「金メダルを取りたい」
3日の選出後の取材対応で、高井にU23アジアカップ以後で成長した点を聞けば、「オリンピックに対して何かやってきたわけじゃなくて、一人の選手として成長するために」プレーすることを心掛けたという。“パリ”を最終目標とするのではなく、成長の一つとしてさらに羽ばたきたい。そんな気持ちが見える答えだった。
そして、個人の目標を聞けば、力強く「僕個人としては金メダル取りたいですし、目指せればいい」と答える。ひょうひょうとした心持ちはいつもと変えない。それでも、内に秘めたる闘志がある。チームのため、日の丸のため、自分の成長のため――。前日とは、まったく異なる姿を垣間見せたのだった。
川崎フロンターレというチームにとっては、5大会連続で五輪に選手を輩出したことになる。そして、6大会連続を狙う立場に、高井と、大関友翔や由井航太、神田奏真など多くの選手がいる。
フランスの地で高井が活躍し、そして、それをチームに還元して次の歴史へと導けるか。4年に1度の大舞台が、間もなく幕を開ける。
(取材・文/中地拓也)