疲労が重くのしかかる時間帯だったはずだ。後半42分。それにもかかわらず、川崎フロンターレの右サイド、高い位置を取って、両手を広げてボールを要求する姿があった。
中継映像では写らない場所で、必死にパスを呼び込もうとしたのは、佐々木旭。前半から左サイドバックとして再三再四、上下動を繰り返していた佐々木は、その直前に行われた選手交代の影響で右サイドバックにポジションチェンジ。視野が変わったことで難しい部分もあったはずだが、強くボールを要求した。
試合後の佐々木に、その呼び込んだ場面を覚えているか尋ねれば、しっかりと覚えていた。どんな気持ちだったかと重ねれば、「やっぱり点を取らなきゃいけなかった」と話し、こう続ける。
「いい試合をできていたので、引き分けではいやだ、なんとか勝ちに持ってきたかったという思いです。自分で打開したいという思いと、自分にボールを渡してくれれば何とかできるっていう自信がありました」
その言葉のように、アルビレックス新潟のサイドを佐々木は何度も切り裂いた。自ら仕掛けてクロスを上げた場面があれば、積極的なシュートも放った。その姿勢とプレーが、マルシーニョの先制点のアシストにつながっている。