■「自分のプレーが勝敗を決するという覚悟を持ってやっている」
宮城がピッチの上で心がけたことはおそらく2つある。一つは試合を決めるために得点やアシストを決めること。そしてもう一つは、自分の強気の姿勢を周囲に伝播させることだ。
「自分としては強気でやっていて、それが周りに伝えられているかなって思ってました。今は勝ててない状況ですけど、自分も一つ一つのプレーに責任を持ってやらなきゃいけない年齢と立場ですし、自分のプレーが勝敗を決するという覚悟を持ってやっているので、それをチームに還元できれば」
そこまでを背負って、背番号24は川崎のピッチに帰ってきた。
その気持ちを持ったのは、「多分、周り(の人)は“また失点か”とか、“この時間に失点か”と思ったかもしれませんが、中のみんなは死んでなかった」と強く感じたから。そうした頼もしいチームメイトがいたからこそ、宮城はチームをさらに前に前にけん引しようとしたのだ。
そんな新生・宮城天は、「90分を通して勝ち負けと細かい部分にこだわっていければ、また勝っていけると思う。細かいところをみんなで改善しようとしているので、地道にやるしかない」と、全員で道を切り開こうとする姿を明かしたうえで、「今はそういうことをみんなでやっていく段階だと思うので、糧にしないといけない」とこの試合を位置づける。
筆者の質問一つ一つに考え、そして、丁寧に答えてくれた宮城は、最後の投げかけにこう返してくれた。
「サッカーはボールを持たないと始まらないので、取られてもみんなでもう1回取れればいい。怖がらずにチームとして戦えれば負けないので、僕は強気に行くだけですね。毎試合、毎試合」
その心強い答えに、「ありがとうございます。次も期待しています」と返すと、覚悟を背負うかのような一礼を見せて、チームバスに乗っていったのだった。
(取材・文/中地拓也)
(後編へ続く)