■相手を剥がすための自信と勇気

 ちょっとした綻びが重なった末に喫した失点。しかし、川崎の本当の誤算は攻撃陣にあった。前半のシュート数は、神戸の9本に対して川崎はわずか1本。エリアの外から34分に山内が放った一撃も、ゴールの枠をとらえられなかった。

「もっと自分たちが自信をもってボールを動かせれば、と思うような、ちょっともったいない前半になってしまった。やはり相手の圧があったのかなと思うし、それを剥がすための自信と勇気が、特に前半は足りなかったと思っています」

 遠野が自戒の念を込めて振り返る。迎えたハーフタイム。川崎は山内に代えてボランチのゼ・ヒカルドを投入。しかし、システムを[4-3-3]から[4-2-3-1]に変えた後半も放ったシュートは2本。あまりにもゴールが遠いまま、ポーランドのダミアン・シルヴェストジャク主審が試合終了を告げる笛を鳴り響かせた。

(取材・文/藤江直人)

(後編へ続く)

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