■生き残りをかけた「最終オーディション」

 1トップでは、小川航基が結果を残すことに成功した。

 小川は「初招集」ではないが、前回の招集はEAFF E-1選手権、つまり海外組がいない代表での招集だったので、実質的には今回が初代表ということになる。

 桐光学園高校時代からそのシュート技術の高さは知られていたが、ジュビロ磐田では不完全燃焼が続き、2022年に横浜FCに加入してから一気に花開いた小川。同年にはJ2リーグ得点王に輝き、そして、昨年夏にNECナイメヘンに移籍。オランダのエールディヴィジで11ゴールを決めて、ようやく海外組を含むA代表に招集され、いきなりミャンマー戦で1トップを任されたのだ。

 8月には27歳になる小川。センターFWとしては1歳下の上田綺世がすでに代表で結果を出しており、さらにオリンピック世代の細谷真大というライバルもおり、さらに下の世代にもミャンマー戦の前日にU-19代表でイタリア相手にハットトリックを決めた塩貝健人など、可能性を秘めたFWが目白押し。

 小川にとっては、今回が代表での生き残りをかけた最終オーディションのようなものだった。

 しかし、前半は30分に堂安からのスルーパスに反応した場面など、日本代表の攻撃にうまく絡めたのはごくわずか。35分に堂安が2点目を決めた場面でも、鎌田のシュートがポストに当たった瞬間、小川もすぐ近くの位置にいたものの、堂安が一足早く反応してゴールを決めてしまった。

 つまり、前半はハーフタイムで交代を命じられていてもおかしくないようなパフォーマンスだったのだ。

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4