■代表で昨年は7点、今年はすでに5点
もちろん上田の得点はヘディングだけではない。シリア戦では決めきれなかったものの、右に開いた久保建英(レアル・ソシエダ)からラストパスを受けて反転しながらフリーになって右足を振り抜いた前半28分の決定機、あるいは南野から絶妙なパスをもらい、マークを外して振り向きざまに打った後半23分のビッグチャンスなど、多彩なゴールの形を示している。
「綺世みたいにシュートのうまい選手がどこまで高い領域に辿り着くか、本当に楽しみ」と昨季まで鹿島アントラーズで指揮を執っていた岩政大樹監督(現ハノイFC)も語っていたことがあるが、彼は両足、ヘッド、反転などさまざまな形から点を取れる選手。そこにクロスからの競り合いという強みが加われば、より得点力をアップできるはずだ。
2019年コパアメリカ(ブラジル)で初キャップを飾ってから、2023年6月のエルサルバドル戦(豊田)まで初得点を挙げるまでに4年もの時間を要した上田だが、そこからはトントン拍子に数字を伸ばしている。2023年はドイツ戦(ウォルフスブルク)含めて7点をゲット。2024年に入ってからもこれで5点目で、チーム最大の得点源が生まれつつあるのは力強い要素だ。
「点を取るのがFWの仕事」と口癖のように言う男の進化を森保監督も前向きに捉えているに違いない。
(取材・文/元川悦子)
(後編へ続く)