■イングランドの逆襲「後半22分の交代」

 その後イングランドは、2001年初頭に監督に就任したスベンゴラン・エリクソン監督の下で調子を取り戻し、9月にはミュンヘンでドイツを5-1で下して、10月に最終戦を迎えたときには得失点差でドイツを抑え、グループ首位に立っていた。他の3チームには、予選突破の可能性は残されていなかった。10月6日の最終日、ギリシャをホーム(マンチェスターのオールドトラフォード)に迎えたイングランドに対し、ドイツはゲルゼンキルヘンにフィンランドを迎えていた。この1か月前には、フィンランドがギリシャに5-1で大勝している。イングランド優位の状況は明らかだった。

 だが、試合が始まってみると、ギリシャの動きが良く、イングランドGKナイジェル・マーチンは大忙しとなった。そして前半36分、ついにイングランド・ゴールが破られる。後半、イングランドは猛攻に出る。しかしMFデービッド・ベッカムを中心とした攻めも、最後のところでギリシャGKアントニオス・ニコポリディスの好守に防がれる。

 シェリンガムがピッチに立ったのは、シンプルなワンツーパスでイングランドDFラインが突破され、ペナルティーエリア左で完全にフリーとなったギリシャのシュートが幸運にもGKマーチンの正面に飛び、防いだ直後のことだった。後半22分のことである。ピッチ上では、攻撃に転じたイングランドが、ベッカムに対するファウルにより、左サイドでFKを得てプレーが止まったタイミングで、ロビー・ファウラーに代わってシェリンガムが入った。

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