【サッカーにVARは本当に必要か?】最終結論(3)誤審ピエロを救う「VARとプレー集中」、ストレスを軽減させる「リクエスト制」、プレミア古豪「提案の意義」の画像
アジアカップでは、VAR判定でいくつものPKが生まれた。決勝戦のカタールVSヨルダン戦では、中国マー・ニン主審のジャッジで3度のPKが生まれたが、VAR判定で覆ることはなかった。撮影:原悦生(Sony α‐1使用)

 サッカーはピッチ上の技術や戦術のみならず、テクノロジーも日々、進化している。一方で、VARなどの技術の介入、乱用には批判、疑問の声も多い。イングランドで出たVAR廃止論を糸口に、サッカージャーナリスト大住良之がサッカーにおけるテクノロジーのあり方を考える。

■レフェリーを「ピエロの地位から救う」ヒント

 もちろん、テレビカメラがピッチで起きていることのすべてを白日の下にさらし、さらにスローリプレーなどで繰り返し「誤審」をアピールしてしまう時代に、レフェリーたちを「ピエロ」の地位から救う手だては考えなければならない。その有力な手段のひとつがVARであるのかもしれない。

 だが、その方向性をアマチュアのサッカーにまで進めるのは間違っていると、私は考えている。このレベルに必要なのは、「サッカーの根本精神」を広め、レフェリーの判定を尊重して自分のプレーに集中することを徹底することではないか。それがなければ、「サッカーという文化」は死に絶えてしまう。

 ただ、「フットボール・ビデオ・サポート(FVS)」には、これからのサッカーに役立つひとつのヒントがあるような気がする。それはVARの「プロトコル(運用手順)」の見直しだ。VARには、サッカーのルールを統括する国際サッカー評議会(IFAB)の厳格な「プロトコル」があり、VARを使うすべての試合は、それをしっかり守らなければならないことになっている。

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