■「気恥ずかしい」VAR判定を待つ時間

 さて、2018年のルール改正で正式に使用が認められ、その年のワールドカップ・ロシア大会で使用されたのを皮切りに、VARシステムは世界の主要大会で使用されるようになった。プレミアリーグでも2019/20シーズンから使われ、5シーズンを過ぎた。だが、最終判定までに時間がかかりすぎること、「誤審をなくす」ことが目的なのに、逆にVARが誤審を導くこともあり、イングランド・サッカー協会とは独立した組織になっているプロ審判協会がたびたび謝罪をするハメになるなど、問題も多発している。

 ゴールが決まって主審が得点の合図をしても、「VARが何か異議あるのではないか」と、選手やファンは素直に喜ぶことができない。主審が試合再開をストップしてVAR判定を待つ時間は、サッカーという競技で最も気恥ずかしいものだ。そして、なぜVARで判定が変わったのか、十分な説明も行われないことに、チームもファンもいら立っている。

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4