■知念の割り切りがいい方向に
「正直、課題はいっぱいあると思いますし、ビルドアップなんかも割り切ってあんまり関わらないようにしているんで(苦笑)。奪ってそこから攻撃に繋げる部分に振り切って今はやっているんで。周りが自分が足りない部分をサポートしてくれるし、逆に周りができないことを自分がサポートしてあげるようないい関係が今、作れてるかなと思います」と本人もできる仕事を徹底的に遂行するというスタンスを貫いているという。
この守備強度は5月22日のYBCルヴァンカップ・町田戦から復帰した柴崎岳にも出せない部分。柴崎が戻ってきたら知念がどう扱われるかというのは1つの疑問ではあったが、指揮官はこのまま知念・佐野をベースに戦っていくつもりだろう。柴崎は横浜戦終盤にトップ下に入ったが、より攻撃的な役割を担う可能性も少なくない。いずれにしても、知念抜きにポポヴィッチ監督のサッカーは具現化できないということなのだ。
「今のところ信頼して使ってもらってるんで、その期待に応えないといけないなっていうプレッシャーや責任感はあります」と知念は神妙な面持ちで言う。29歳にして新境地を開拓し、才能を開花させつつある男が今後の鹿島を支え続けていくことになりそうだ。
(取材・文/元川悦子)