■もう一つの名物である本場の「角打ち」へ

 若松や戸畑には、もう一つ名物があります。「角打ち(かくうち)」です。

「角打ち」というのは、小売り酒屋の店先で立ち飲みをする行為のこと。つまみも提供されます。

 最近は東京などでも「角打ち」ができる酒屋が増えてきていますが、本場は北九州の工業地帯で働く労働者たち向けのサービス。「角打ち」という言葉もここが発祥です。製鉄所というのは高炉の火を落とすことができないので、24時間稼働で労働者たちは昼夜交代で働いています。そうした労働者が仕事を終えて、店先で一杯やって家路に就くというわけです。

 もちろん、地元の人は今でも「角打ち」を楽しんでいますが、本場の「角打ち」を体験しに観光客もやって来ます。

 せっかく戸畑に来たのだからと思って、僕は周辺の酒屋を何軒か回ってみました。しかし、残念ながらまだ時間が早すぎたようで店は開いていませんでした。夜にはUー23日本代表とウクライナ代表の試合があるので、長居はできません。

 いつの日にか「角打ち」にリベンジすることを心の中で誓ってから、僕は再びJRに乗って小倉に戻ったというわけです。

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4