浦和の攻撃を阻んだ「元日本代表」のプレー

 それでは試合を見ていこう。前半から試合は浦和ペースで進む。磐田は、前半をゼロ点で凌いで、後半勝負に出るゲームプランを選択した。ボールを浦和に握られていた時間は長かったが、磐田は全員で集中して守備をして、時には右サイドから攻撃を組み立てて応戦していた。
 後半に入って浦和の攻撃を阻んだのは、やはり川島のプレーだった。55分に右ウインガーの前田直輝がポケット(ペナルティエリアの両方の盾のラインから内側に3メートル以内の場所)に侵入してパスを受ける。前田はターンして、ゴールエリア前の中央に入ってきたチアゴ・サンタナに左足で横パスを送る。
 サンタナはフリーになってシュートを放つが、川島はニアサイドを狭めながら、なおかつ股を抜かれないように下に重心を置いて、大きく構えて前に出て、胸でボールを受け止める。
 この場面では、磐田の右センターバック(以後、CB)のリカルド・グラッサの動きに問題がある。前田にターンさせたことがいけない。もう少し前田に寄せておけば、ターンさせることはなかった。そうすれば、前田はサンタナへの横パスではない選択肢を選ばざるを得ない。
 DFにとっては、ボールをあげさせる状況とあげさせない状況が目の前あった場合、あげさせない状況を作ることが大切になってくる。それが決定的な場面を作らせないことにつながっていく。
 続いて、68分の浦和の先制点、マリウス・ホイブラーテンの得点シーンを見てみよう。

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