「サッカー界だけではなくて、“今”っていうこの時代ではないですけど…」
今、という部分を強く強調して説明するその言葉に、とても合点がいった。それは5月29日に行われた川崎フロンターレの練習後のこと。ここ数日でぐっと暑くなった昼過ぎの、青空の下。居残り練習を見守り終えてクラブハウスに帰ってくる鬼木達監督に、筆者が5つ目の質問を問いかけた場面である。
一進一退を見せながら成長を求めるチームについて聞くと、その中で、“アクション”についての考えが出てきた。アクションとは、ピッチ上でのプレーについてということではなく、表情や声掛けなどを指すものだ。
見え方や見せ方が大事――。こう説く指揮官は、「たとえば自分たちが失点した後に盛り上げるだけでも違うでしょうし、表情一つでも、たとえば怒ってもいいと思うし、形は何でもいいんですけど、そうしたアクションがないことは見え方としてどうなのか」とその意図を説明する。
川崎がリーグを連覇していたときであっても、“怒る”“励ます”“盛り上げる”などのアクションがあった。さらなる高みを目指そうとするからこそ、失点しても、仮に負けたとしても逆に闘志を高ぶらせた。その姿を見て、直接的に関係のない選手も注意力を高めたり闘志を強めるなど、さまざまに伝播が見られた。チームをさらに上向かせるためのアクションを、もっともっと開放したほうがいいと鬼木監督は考える。