J1サンフレッチェ広島の新戦力が、ハットトリックを達成した。その締めくくりとなるFKに、ファンが驚嘆の声を上げた。
2年連続でJ1を3位という好成績で終えた。今シーズンの広島は、タイトル奪還へ相当に気合いが入っていたはずだ。
良いスタートを切ったと言っていい。開幕戦は、待望だった広島市中心部に完成したサッカー専用スタジアム、エディオンピースウイング広島に浦和レッズを迎えて2-0と快勝。連勝はならなかったが、勝点を積み上げていった。
第11節まで無敗が続いていたが、第8節以降は4試合連続で引き分けていた。勝利から遠ざかっていると、初黒星を喫した第12節から連敗。しかも、ホームでの手痛い2連敗だった。
7試合ぶりの勝利を目指した5月19日の第15節、素晴らしい結果が手に入った。京都サンガF.C.相手に、5-0という大勝を飾ったのだ。
ヒーローは、今季加わった新戦力だ。新井直人がハットトリックと、大爆発したのだ。
キャリアハイが昨季のリーグ戦3得点だった新井は、前節までに2得点。つまり、早くも自己最多得点を超えたことになる。
その3得点とも、味わい深いものだった。すべて、まったく違うパターンで決めたものだったのだ。
1点目は、利き足ではない左足で決めた。左サイド深い位置からのグラウンダーのクロスに走り込み、丁寧に左足で合わせてゴール左隅を射抜いた。
2点目は頭で決めた。左CKの場面でニアサイドに陣取り、マークについた相手選手を力強く抑え込み、力強く頭で押し込んだのだ。
そして、後半34分の3点目だ。自身プロキャリアで初のハットトリックを、メンタルの強さも感じさせながらしっかりものにしたのだ。
相手ゴール正面やや右からのFKというチャンスで、新井はゴールを見据えた。左足を用いてプレースキックを蹴る志知孝明もいたが、状況を見極める姿からは決意がにじんでいた。
志知の動きをおとりにつかうでもなく、新井は堂々と助走に入る。目の前には相手7選手が壁をつくっていたが、弾道はその右端ぎりぎりを通り過ぎた。コントロールのみならず、しっかりとパワーも乗った右足でのFKは、相手GKの手を弾いてゴールネットを揺らした。