■欧州組の「若年齢化」で五輪の役割が低下

 このようなオリンピックサッカーの状況があるなか、ここ数年間で日本のサッカーには大きな変化が起きている。「欧州組」の若年齢化だ。以前は日本代表での活躍を通じて認められ、欧州に移籍する選手が大多数だった。しかし、このところ、18歳~21歳という若い選手たちが欧州のクラブから目をつけられ、移籍するだけでなく、どんどん試合に出て活躍する例が増えている。

 もちろん、若い選手がいきなりプレミアリーグブンデスリーガで活躍するのは難しいが、ベルギー、オランダ、ポルトガルといった「ステップアップリーグ」でプレーすることで、欧州のスピードや体格に慣れ、力を発揮して「ビッグリーグ」に移っていく選手が次々と出ている。独ブンデスリーガ1部のボルシアMGに所属する20歳の福田師王、ヴェルダー・ブレーメン(現在、U-23チーム)に所属する佐藤恵允などが今後、ブンデスリーガで活躍できれば、大きな自信となり、「ワールドカップで戦う力」に直結する。

 すなわち、「日本国内のユースサッカー→Jリーグ→オリンピック→ワールドカップ」という図式に加え、「日本国内のユースサッカー→欧州のステップアップリーグ→欧州のビッグリーグ→ワールドカップ」という新たな図式ができかけているのである。そうして日本を出ていった若い選手たちが移籍先のクラブで実績を残し、評価を高めることにより、この流れは今後5年間で加速する可能性が高い。

 この流れが、日本代表強化における「オリンピック依存」を軽減させるのは言うまでもない。「ワールドカップ優勝」という最終目標に対するオリンピックの意義は、間違いなく低下しているのである。

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