■黒田監督「昔とはちょっと違う発想がある」

 結果的に前半はシュートゼロ。後半になって鈴木優磨やチャヴリッチ、師岡柊生らJ1に出ているメンバーがピッチに立ったが、2点をリードした町田の堅牢な守備を崩すのはそう簡単なことではない。後半もシュート3本にとどまり、鹿島は完敗。町田に連敗し、早くも1冠を失うことになった。

「鹿島が伝統と歴史を多く刻んでいるチームという自覚はありますけど、今の若い選手たちはそういう印象がないのか、あまり気にしてない風潮があるのかなと感じます。

 我々には昌子源という強かった時代のDFの柱がいますけど、若い選手はその時代をあまり覚えていないというか、それくらい時代が変わってきた印象もありますし、苦手意識も持たない。我々の方がむしろ意識をしてしまうくらいで、彼らはつねに町田のサッカーを志向するし、自分たちの役割を果たすことに舵を切っている。さすが今のZ世代の子たちと言うべきか、昔とはちょっと違う発想があるのか、すごく感心する一面がありますね」

 敵将・黒田剛監督にこう評されてしまった鹿島。彼らはいかにして悔しい敗戦から這い上がるのか。常勝軍団復活の道が険しいことを深く刻んで再出発するしかないだろう。

(取材・文/元川悦子)

(後編へ続く)

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