■まさかの失点から「10分以内」で同点に
奪ったボールをサイドに散らして展開。とくに絶好調のサイドハーフ清家貴子とサイドバックの遠藤優が組んだ右サイドは強力だった。
仁川側も、浦和のサイドアタックを警戒して通常のフォーバックではなく、スリーバック(3-4-3)でスタートしていたものの、浦和のサイド攻撃の前に劣勢となり、28分には早くも浦和の右サイドを監視するウィングバックを交代せざるを得なくなった。
そして、23分、栗島朱理からボールを受けた伊藤美紀がゴール前にフワリと上げ、そのボールがバウンドしようとした瞬間、走り込んだ清家が豪快にボレーシュートを決めて、まさかの失点から10分以内に同点とすることに成功した。
さらに、26分には右CKからのボールをCFで起用された島田芽依が頭で合わせて、アッという間に浦和が逆転してしまった。
そして、浦和は後半からはDFの高橋をピッチに送り出して、そのまま危なげなく逃げ切った。むしろ追加点が取れなかったことが反省材料となる試合だった。
仁川は、韓国の女子リーグ「WKリーグ」で10連覇を成し遂げた、韓国女子サッカー界の「絶対女王」だ。浦和もWEリーグ2連覇を目前にしていたわけで、まさに日韓両国の女子サッカーを代表する最強チーム同士の顔合わせだった。
仁川には負傷者も多く、アウェーでの不利もあったのは事実だが、チーム力として浦和が上回っているのは明らか。
そのことは、仁川の女性監督キム・ウンスクも素直に認めており、だからこそ、なんとか前半はスコアレスで折り返そうと考えてスリーバックを選択したのだ。
浦和は先ほども述べたように清家と遠藤の右サイドからの攻撃も強力だったが、なんといっても中盤での守備能力が高く、仁川にほとんど決定機を作らせなかった。
アプローチが早く、ボールを持っている仁川の選手たちを、赤のユニフォームの選手たちが瞬く間に囲ってボールを奪い切って、スムーズに攻撃につなげた。フィニッシュの段階でもう少し落ち着きがあれば、3点目、4点目が取れた試合だった。