■「まずは僕が追いつかなきゃいけなかった」

 佐々木の対面にいた右サイドバックの石原は、自身から見て右側にフリーでいた快足ドリブラー、FWマルシーニョに気を取られすぎたと悔やんだ。

「1対2の状況を作られたなかで自分がゴールの幅に立って、相手のシュートコースに入りながら、ボールを外に出させる対応ができればよかった。ただ、下がりながらの対応だったので、自分たちのゴールの位置も曖昧になっていたので」

 佐々木とマルシーニョを同時に視認していた石原には味方の位置が見えず、声がけもできなかった。ならば、佐々木を追走していた大久保はどうだったのか。

「相手のカウンター気味になった状況で、まずは僕が追いつかなきゃいけなかった。ああいった場面では連係というか、声がけがひとつ足りなかったと思うんですけど、それが勝負を左右するプレーになった。次はないようにしたい」

 マルシーニョを警戒する石原の逆を突いて、佐々木はドリブルのコースを内側に変えた。ノーマークの状態から放たれたシュートに懸命に反応し、右手を伸ばした西川だったが、強烈な一撃はその指先をかすめてゴール上へ突き刺さった。

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