■難しいミッションの中で

 一方の浦和はゴール前に復帰していたホイブラーテン、右センターバックの佐藤瑶大、右サイドバックの石原広教、さらにボランチの伊藤敦樹とサミュエル・グスタフソンと右サイドハーフの大久保智明も守備に戻ってきており、木下のシュートを6人の選手が見送るという不恰好な構図になってしまった。頼みのGK西川周作も、至近距離からフリーでダイレクトボレーを打たれたら、止め切るのは難しい。

「クロスが入ってくるときはセンターバックの前のスペースをしっかりと埋めないといけない」

 ヘグモ監督もそう語るが、ここまで前からボールを奪いに行く守備を植え付けることに注力してきた反面、前からハメられなかった場合にゴールを守り切るための守備の共有がやや曖昧なままであることは否めない。ただ、そもそも現在の浦和には攻撃のマインドが強く、まずは失点しないという意識が昨年ほど強くないことも確かだ。

「集中するべきところを集中して。もしかしてあの失点したシーンは我々に堅さが足りなかった。我々のディフェンスの仕方はこのような形ですけど、学びを得て、パフォーマンスを上げていかないといけない」

 ホイブラーテンはそう反省を語ったが、一方でベースに相手を攻撃で「ドミネート(支配)」するというチームの大前提と表裏一体であることも忘れるべきではない。「もっとボールを支配して、押し上げたところで、相手のゾーンでプレーしている時はいいのですけど、間延びした時には問題がある。もう一度、あの失点シーンをしっかりと確認したい」とホイブラーテンは語る。ヘグモ監督の1年目で、浦和はベースを構築しながら勝ち点も積み上げるという難しいミッションの最中にある。

 攻守で相手を支配して、得点を奪っていくこと。しかし、それがうまく行かない時にどう失点を防いで、自分たちの時間帯に持ち込むか。その試行錯誤を乗り越えた先にしか成功の道はない。

(取材・文/河治良幸)

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