■南ヨーロッパは「楽しいことがいっぱい」
イスラム教がアルコールを禁止していることは有名ですが、他の宗教でも飲酒は好まれないことが多いようです。大酒のみの和尚もたくさん知っていますが、仏教でも本来は飲酒は好ましいこととではないようで、禅寺などには「葷酒山門に入るを許さず」と書いてあります(「葷(くん)」とはネギやニラ、ニンニクのような匂いの強い野菜のことです)。
ただ、日本の神道では「御神酒(おみき)」という言葉があるように、酒は禁止されていません。神社に行くと、境内には奉納された菰樽(こもだる)に入った日本酒が積み上げられています。
キリスト教では、パンがキリストの体、ワインはキリストの血と考えられていて、礼拝儀式のときに欠かすことができません。
そのため、各地の修道院でワインが生産されてきました。修道院が発祥という“酒どころ”も多いようです。
それでも、労働を貴ぶプロテスタント(新教)では過度な飲酒は戒められていますが、ラテン系のカトリックでは、人々が楽しむことを神は喜ぶと考えられているので、酔っぱらうことや遊ぶことは悪いことではありません。
ワイン、音楽、娯楽、恋、フットボール……と楽しいことがいっぱいの南ヨーロッパ。「素晴らしきかな、ラテンの文化!」というわけです。