人生で一番緊張する試合――ドーハ市内でトレーニングに励む日本代表の選手の口から、こういう言葉が漏れてくるのも無理はない。日本時間の4月25日23時にキックオフする試合は、それほどの重みを持つ。
パリ五輪最終予選を兼ねたU―23アジアカップの準々決勝。大岩ジャパンはカタールと対戦する。勝てばパリ五輪の出場に大きく近づくが、負ければフランスに向かう切符は手に入らない。ここまで青いユニフォームが紡いできたオリンピックの連続出場回数は「7」。それを途絶えさせるか、それとも「8」へと伸ばすのか。プレッシャーにならないわけがない。
しかも、グループステージの第3戦では手痛い敗戦も喫した。土をつけたのは韓国代表だ。日本にとって負けられない相手に味わった悔しさが、プレッシャーをより高める。
その試合後、藤田譲瑠チマが口にしたのは「自分が中心になってまとめあげたい」という言葉だった。そしてそれを、実際に行動に移した。24日の夕食後に、選手だけのミーティングを行ったという。発案者は藤田譲瑠チマで、そこに、副キャプテンらも賛同して選手を集めた。
「A代表に帯同しているスタッフもいるんで、そういった方から、A代表は試合前にチームミーティングを選手だけでやったりすることを聞いて、僕らも韓国に負けた後だったからこそ今やるべきだなっていうふうに思った」
藤田と並んでチームの精神的支柱の一人である山本理仁はそう説明する。