■「こういうこと思ってるんだって知れた有意義な時間」
そのミーティングが果たした役割は大きかった。山本はその内容について、「言えることと言えないことがあって……」と話すほどで、それほど腹を割った内容を話したのかと聞いてみると、「そうですね」と首肯し、次のように明かす。
「なかなかそういう機会も今までなかったですし、僕も言うのは恥ずかしいタイプなんで、なかなか言えないですけど、ああいった場が改めて開かれて、(小久保玲央)ブライアンもそうですけど(佐藤)恵允だったり、こういうこと思ってるんだって知れたのですごい有意義な時間だった」
その佐藤は、「自分は今までちょっとふがいないプレーをしていたのでそれについての話と、カタール戦でノックアウトステージが始まるということで本当に自信を持ってプレーしようって言いました」と振り返る。グループステージを終えた時点で、「ちょっと落ち込んでいた」と赤裸々に自身の精神面を明かすが、そこで話したこと、そして、チームメイトに受け入れてもらえたことで「元気をもらえた」という。
このチームでは、こうした選手ミーティングは今まで行ったことがないという。それを覆して集まったことは、23人全員が勝利を目指しているからだ。何をすべきか、ピッチ外でもできることのために動かないわけにはいかなかった。
「この中はファミリーだぞっていうのと、チームは全員が一人ひとりを信頼している」
山本がこう訴えたというミーティングの団結力を見せる場が、間もなくやってくる。
(取材・文/中地拓也)
(後編へ続く)