■家長昭博が説く「体ではなく思考の逆」
山田に代わって72分から投入された家長は、今シーズン9試合目にして初めて先発から外れた点を
「そういう試合もあるし、まったく普通だと思います」と受け止めた。しかし、家長が入ってから攻撃のリズムが変わったと小林は振り返る。
「いつパスを出すのかがわかりやすいので、距離を近づけながらできた」
しかし、連覇を達成した2018シーズンのMVPは別の課題を感じていた。家長が指摘したのは、相手を疲弊させる“ジャブ”を放てていない試合運びだった。
「現状、相手が逆を取られるケースがほとんどない。逆というのは体ではなく思考の逆で、それがないと90分間のなかで相手がなかなか弱っていかない。現実として最後まですごく元気ですよね? それはずっと課題だと思っていますけど、もはやそれも求められていないんじゃないか、というのも感じているので」
家長を先発から外した意図について、鬼木監督は「スピードを生かしながら、相手が前から来るところの背後を狙いたかった」と説明した。確かにスピード面と守備の穴は補えた。しかし、相手に“ジャブ”を放てる存在もいなくなってしまった。