■得点数が増えた最大の要因は「バックパス」
だが、あくまでこれは「よりエンターテイニングにし、入場者増やす」ことを目的とした「プロ的」な目的を持ったもので、サッカーを楽しむ少年少女や「草の根」のサッカーに適したものではなかった。事実、イングランドでも、「3-1方式」が採用されていたのはセミプロのレベルまでで、アマチュアや草の根では「2-1方式」が、1994年の「FIFA通達」まで続いていたのである。
だが、1994年ワールドカップで得点数が増えた最大の要因は、「3-1方式」ではなく、1992年に採用された「バックパスルール(味方からバックパスされたボールについては、GKは手を使うことができない)」だったという見方をする人は少なくない。スペインでは、ニールが懸念したようにリードしているチームが守備的になったり、「ファウルとイエローカードが増えた」という研究があるという。「3-1方式」は、サッカーをよりエンターテイニングにするというより、より「汚く」しているというのだ。
私は、「3-1方式」は少なくともプロだけにして、アマチュアや草の根では「2-1方式」に戻すのがいいと思っている。勝ちも引き分けも負けも、決められた時間で行われるサッカーという競技のひとつの「結果」に過ぎない。試合が終わったら、潔くそれを受け入れるのがサッカーの文化というものではないか。観客を増やし、収入を増やしたいという「3-1」のように不純な動機を持つ方式ではなく、引き分けた両者で「金の壺(試合の喜び)」を分け合う「2-1方式」の復活はできないものかと、日々、思っているのである。