■1994年アメリカ大会で得点数が増加「大成功だった」

 サッカーのルール改正をつかさどるのが、国際サッカー評議会(IFAB)という組織であることはよく知られている。世界のサッカーを統括する国際サッカー連盟(FIFA)の外にあり、IFABが決めたルールを世界中のサッカー協会に守って競技を行わせるのが、FIFAの仕事と言ってよい。しかし、「3-1方式」にはIFABは関与していない。ルールブック(競技規則)を読んでも、この方式はおろか、「勝ち点」という言葉も出てこない。この方式は、FIFAが決めたものなのである。

 1994年10月に、アメリカのニューヨークでFIFAの理事会が開催された。この年の6月から7月にかけてアメリカでワールドカップが開催され、実質的にFIFAのナンバーワンだったジョゼフ・ブラッター事務総長(会長はジョアン・アベランジェ)は、イタリアのロベルト・バッジョのPK失敗で幕を閉じたこの大会を、「大成功だった」と自画自賛した。

 そのひとつが、得点数の増加だった。4年前の1990年イタリア大会の52試合で生まれた得点は、115(1試合平均2.21)、1994年大会では、同じ試合数で141(2.71)へと急増した。そして、その最大の要因がワールドカップで採用された「3-1方式」であるとして、翌年から世界のサッカーのスタンダードにすることを、1994年10月の理事会で決め、通達したのである。

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