■乾の絶妙アシストが決勝弾を生み出す
0対0で推移していくなかで、秋葉監督が61分に交代カードを切る。右SB吉田豊、ダブルボランチの一角のMF白崎凌兵を下げ、右SB北爪健吾と北川を投入する。
さらに67分、ルーカス・ブラガと矢島が退き、MF松崎快と乾がピッチに立つ。1トップの北川を頂点に2列目に松崎、乾、カルリーニョス・ジュニオが並び、中村がボランチに下がる。
北川が最前線で起点となり、乾とカルリーニョス・ジュニオがボールを落ち着かせることで、チーム全体の縦への推進力が強まる。2列目の選手が前を向いてボールを受けることにより、北爪と左SB山原怜音の攻撃への関わりもスムーズになっていく。80分にはカルリーニョス・ジュニオとMF西原源樹が交代し、サイドからの圧力をさらに強めた。
ただ、今シーズンホームで未勝利の甲府も、交代カードを切りながら攻撃のギアを上げていく。85分、清水は右ポスト直撃のシュートを浴びた。ここで先制されていたら、試合の結末は違ったものになっていただろう。
何とか失点を免れた清水は、90分にスコアを動かす。山原が右CKを蹴ると、相手DFにクリアされる。ファーサイドへ流れたボールを、乾がワンタッチでゴール前へ折り返す。これが絶妙だった。ライナー性のクロスを、CB住吉ジェラニレショーンがヘディングでねじ込んだ。住吉は水戸ホーリーホックに在籍していた21年以来のゴールだ。
最終盤にリードを奪った清水は、CBをあげてきた甲府のパワープレーを跳ね返し、終了のホイッスルを聞く。3試合ぶりの勝点3をつかんだ。
試合後のフラッシュインタビューに応じた秋葉監督は、「相手よりも最後の最後まで我慢強く戦う。最後しっかりとセットプレーの流れのなかから、ねじ伏せてみせる。非常にタフで頼もしい選手たちだなと思っています」と声を弾ませた。
前節まで首位のファジアーノ岡山が引分けたため、清水は今シーズン初めて首位に立った。主力選手が戻ってきたことで、勝点奪取のペースを上げていきたいところだ。