■5つの国で行われた新大会「FIFAシリーズ」

 こうした中、まったく話題にならなかったが、今後の世界のサッカーに影響を与える可能性のある大会が世界の各地で開催された。それが「FIFAシリーズ」である。

 話は2022年12月、カタールで開催されていたワールドカップの終盤、FIFAの記者会見でのジャンニ・インファンティーノ会長の発言にさかのぼる。2年に一度、偶数年の3月に、ナショナルチームが他の地域連盟のナショナルチームと対戦する親善大会「FIFAワールドシリーズ」をスタートする――と発表したのだ。

 同時に発表された「32チームによるFIFAクラブワールドカップ(2025年から4年に一度開催)」、「9月と10月の国際試合ウインドーを合併させ、4試合を行う(2026年から実施)」も十分、衝撃的だったが、FIFAが親善試合をコントロールし、世界規模の交流の機会にしようという「FIFAシリーズ」の試みは、それ以上に注目された。

 その「パイロット大会」と位置づけられたのが、今年3月、5つの国で開催された6グループの「FIFAシリーズ」だった。参加したのは各グループ4チーム、計24の代表チームだった。

 開催を引き受けたのは、アルジェリア、エジプトのアフリカ2か国、アゼルバイジャン(欧州)、そしてサウジアラビア(2グループ)とスリランカのアジア2か国だった。1グループは4チームで構成され、エジプトでは「1回戦=準決勝」の敗者同士で3位決定戦、勝者同士で決勝戦という方式だったが、他のグループはすべて4チームが決められた2試合をして、勝点で順位を決めるという「親善大会」ならではの方式がとられた。

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