■個の頑張りはあるのだが…
後半開始とともに、森山監督が動く。持ち前のスピードを生かす場面が少なかったオナイウを下げ、MF郷家友太を起用する。今シーズン初先発のボランチ松下佳貴に加えて郷家が入ることで、ビルドアップの厚みを増しながら中島をより高い位置でプレーさせる狙いだったのだろう。しかし、戦況に大きな変化はない。
森山監督は62分にも動く。松下とMF相良竜之介を下げ、MF長澤和輝とMF鎌田大夢を送り出す。さらに79分、中島からFW中山仁斗へスイッチする。
中山とエロンが同時にピッチに立つのは、これが初めてだ。ふたりが2トップのように並び、郷家が右MFに、鎌田が左MFになる。しかし、決定的なシーンを作り出すには至らない。
87分にエロンがピッチを退き、FW菅原龍之助が投入されても、試合の構図がはっきりと変わることはなかった。中山や菅原がシュートを放つシーンはあったものの、観る者が思わず前のめりになる場面はなかっただろう。2試合連続のスコアレスドローで、仙台はミッドウィークのゲームを終えた。
試合後のフラッシュインタビューで森山監督は、「ネットを揺らすところは、引き続き課題として取り組んでいきたい。失点は5試合で2とかなり頑張れているので、もうちょっと前へパワーを使える形を取っていきたい」と話した。
一人ひとりは頑張っている。献身性も読み取れる、それが攻撃の迫力につながっていないのが、現時点での仙台の攻撃と言える。
開幕から5試合を終えて2勝3分という結果は、決して悪いものではない。新監督就任1年目ということを考えれば、上出来と言ってもいいだろう。
その一方で、ファジアーノ岡山が4勝1分、清水エスパルスが4勝1敗と、勝点を積み上げている。仙台は現在、勝点9の5位。現時点では岡山と勝点4差、清水とは勝点3差だが、そのわずかな差が最終的に決定的な差となる。そう考えると、「負けない戦い」を「勝ち切る戦い」へいち早く転換していくことが、仙台には求められるのだろう。