■次のワールドカップで「優勝」するために
2010年の南アフリカ・ワールドカップのときに、中澤佑二や田中マルクス闘莉王がひたすら跳ね返すサッカーで戦った。あの頃の日本代表の力では、ワールドカップで結果を残すにはああするしかなかったかもしれない。岡田武史監督に他の選択肢はなかった。
だが、それから15年ほどが経過して、日本代表の実力は上がっている。
当時はまだほとんどが国内組だったが、今では代表のほとんどが海外組で、リバプールの遠藤をはじめ、各国リーグで上位を争うチームで中心選手として活躍する選手も1人や2人ではない。
日本サッカー協会は「2050年までに世界一」をスローガンにしていたが、ついに代表チーム自身が「次のワールドカップでの優勝」を目標にするようになっているのだ。
J1リーグで目先の結果を出すことだけを考えれば、東京Vも今とは別の戦い方をすべきかもしれない。だが、本当に強くなって将来的にもJ1リーグで戦い続けるようにするには、志の高いサッカーを追求すべきだと考えるからこそ、城福浩監督はしっかりとボールを動かすサッカーを追求し続けているのだ。
日本代表も(女子日本代表も)、どんな相手に対しても優位に立って戦い、本気でワールドカップ優勝を目指すなら、安易に「ロングボール対策」になど走るべきではない。
相手がロングボールを蹴ってくるのなら、前線からのプレッシャーのかけ方を工夫して、相手にロングボールを蹴らせないことを目指すべきだ。あるいは、相手が蹴ってきた時にも「跳ね返す」のではなく、そのボールをしっかりと確保して、そこからパスをつなぐロングカウンターでもフィニッシュまで行くパターンをいくつも準備しておけばいいのだ。
ファンやサポーターも、志の高いサッカーを追求することの難しさをよく理解したうえで、そういったチームをしっかりと後押ししていきたいものである。