東京ヴェルディは16年ぶりに復帰したJ1で、4試合を終えてまだ勝利がない。U-20女子アジアカップで、3連覇していたU-20女子日本代表(ヤングなでしこ)が準優勝に終わった。結果だけ見れば残念だが、内容は誇っていいものである。両チームの「志の高いサッカー」の意味を、サッカージャーナリスト後藤健生が敬意をこめて語る。
■ロングボール攻撃に弱い日本の「強み」
最近は「日本代表はロングボール攻撃に弱い」ということがよく言われるようになり、中には「ヘディングの強いDFを入れて跳ね返せ」などと言う人まで現れてきた。
「日本はロングボール攻撃に弱い」というのは、「日本はパスをつなぐ攻撃には強い」ということの裏返しでもある。
相手がパス攻撃をしかけてきてくれれば、前線からコースを限定してMFのところでボールを奪うことができる。なにしろ、日本代表にはリバプールでアンカーとしてなくてはならない戦力としてボール奪取能力を発揮している遠藤航がいるのだ。
中盤での守備では、そう簡単に負けるはずはない。
だから、対戦相手が「中盤での戦いを避けてロングボールを使おう」と考えるのも当然のことだ。
日本代表はアジアの相手とやるよりも(しっかりとボールをつなごうとしてくる)ドイツやスペインと戦ったほうが守備をはめ込むことができる。ちょうど、東京VがJ2リーグでやるよりも、J1リーグで戦ったときのほうが良い内容の試合ができるのと同じことだ。
しかし、だからといって、アジアの相手とやるときには「ロングボール対策」として、「ヘディングの強いDFを並べて跳ね返せ」というのは暴論であろう。