■「個の力」ではビッグクラブに劣るものの…
試合後の記者会見で東京Vの城福浩監督は珍しく冗舌だった。
そして、「ポゼッションという面では新潟はJリーグでも一番のチーム」と対戦相手を称賛した。
東京Vも新潟も、残念ながら資金力という意味ではJ1リーグでは下のほうに位置する。
それだけに、「個の力」という面ではビッグクラブに劣ることは否めない。たとえば、強豪チームは何人もの外国籍選手を擁しているが、東京V対新潟の試合でメンバーに入っていた外国籍選手は、東京VのGKマテウスと新潟DFのトーマス・デンの2人だけだった。
しかし、東京Vの城福監督も、新潟の松橋力蔵監督も限られた戦力を使って非常に志の高いサッカーを追求しているのだ。
ともに、しっかりとボールを保持して、リスクを冒しながらパスをつなぎ、また、前線からしっかりとプレスをかけて高い位置でボールを奪おうとする姿勢を崩さない。
サッカーというのは、もちろん勝利を目指して戦うのだ。だが、「ただ勝てばいい」というものではない。いや、チームが成長し、将来、本当に強いチームとなるためには駆け引きを駆使して勝負するだけではいけなく、しっかりとした内容のあるサッカーをしながら、選手たちを成長させていかなくてはならないのだ。
そうした覚悟を持ったチーム同士の戦いだからこそ、見る人の心を引きつけることができるのだ。