東京ヴェルディは16年ぶりに復帰したJ1で、4試合を終えてまだ勝利がない。U-20女子アジアカップで、3連覇していたU-20女子日本代表(ヤングなでしこ)が準優勝に終わった。結果だけ見れば残念だが、内容は誇っていいものである。両チームの「志の高いサッカー」の意味を、サッカージャーナリスト後藤健生が敬意をこめて語る。
■最後まで1点を争う「好ゲーム」に
3月17日に行われたJ1リーグ第4節、東京ヴェルディ対アルビレックス新潟の試合は、最後は2対2の引き分けに終わったものの、激しい攻防を繰り返し、また、時間帯によって互いに戦い方を変化させながら、最後まで1点を争った好試合だった。
試合開始直後から両チームがボールを巡って激しく争う、局地的なバトルが繰り返された。
そして、8分に東京Vの山田楓喜がかなり距離のあるFKを直接沈める見事なゴールで東京Vがリードするが、序盤戦に優位に立ったのは新潟のほうだった。
左サイドハーフの小見洋太がトップ下に回り、左サイドに開いたスペースをサイドバックの堀米悠斗が利用してサイドから攻撃。また、前線でのプレッシングもよく機能していた。
14分には堀米が縦に入れたロングボールを小見が追ってCKを獲得。そのCKから谷口海斗のヘディングシュートを狙ったが、シュートはクロスバーをわずかに越えた。
しかし、20分を過ぎる頃から東京Vの守備陣が相手の動きをつかんで、スペースをしっかりと埋めると、攻撃のリズムも取り戻していく。
そして、22分、左からのパスを受けた木村勇大と染野唯月がテンポよくパスを交換して、ゴール前で染野がフリーになった。染野のシュートはGK小島亨介にブロックされてしまったが、この場面はこの試合最大の見せ場だった。
その後の試合展開はいちいち紹介しないが、32分に新潟がCKから谷口が頭で決めて同点とし、後半には、東京VのDFのミスを拾った長倉幹樹が決めて新潟がリードしたものの、後半アディショナルタイムに右サイドバックの宮原和也のクロスが流れたところを翁長聖が決めて東京Vが追いついた。
長倉も、翁長も交代で入った選手だった。両監督が交代をうまく使ってリズムを握ったり、握り返したりといった攻防も面白かった。