■「一番やりたくなかった試合への入り方をさせられてしまった」

 セカンドボールを拾った町田のゲームキャプテン、MF仙頭啓矢が素早く左サイドのFW平河悠へ展開。クロスはゴールラインを割ったものの、ファーポスト付近にはオ・セフンとFW藤尾翔太、MFバスケス・バイロンの3人が詰めていた。

 開始十数秒で町田のロングボール攻撃を強く意識させられた鹿島は、マイボールになっても町田の激しいハイプレスを受け、植田直通と津久井のCBコンビやGK早川友基が、ロングボールを蹴らざるをえない状況に追い込まれた。

 町田はそれも織り込み済みで、高さと強さを兼ね備えたCBコンビ、チャン・ミンギュとドレシェヴィッチが次々とはね返す。町田の前指揮官で、今シーズンから鹿島を率いているランコ・ポポヴィッチ監督は嘆くしかなかった。

「一番やりたくなかった試合への入り方をさせられてしまった。後ろからしっかりとボールを動かして、相手を揺さぶる我々の形をなかなか出せなかった」

 ホームの大声援を背に受けた町田の矢印が、どんどん前へ向けられる。自陣の左サイドでMF佐野海舟が連動したプレスの餌食となり、すかさず発動されたショートカウンターから平河に喫した13分の先制点は、いわば必然といってもよかった。

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